保育園から帰ったとたん、泣く。投げる。「イヤ!」が止まらない。
こちらも仕事のあとで疲れているのに、玄関で立ちつくしてしまう夕方があります。
この記事は、そんな夕方のための短い読みものです。
先に答えを書きます。帰宅後の最初の10分は、「食べ物と水」「声を小さく」「待つ」の3つだけで十分です。理由も、一緒に説明します。
帰ってから荒れるのは、親のせいではありません
小児科医が書いたMSDマニュアル(家庭版)では、かんしゃくの原因は「欲求不満・疲労・空腹」が多いと説明されています。そして、親の子育てだけが原因ではなく、子どもの性格や、その時の状況、発達の途中で起こる行動が重なって起こる、とされています。
年齢の目安は、1歳前後から始まり、2〜4歳にいちばん多く、5歳を過ぎると減っていくのがふつうです。
もうひとつ、よく言われる説明があります。園では一日中がんばって気を張っていて、安心できる家や親の顔を見たとたんに、その気持ちがゆるんで出てくる、という考え方です。ただ、これは育児の解説でよく見る説明で、「帰宅後の荒れ」だけを調べた研究は、僕が探した範囲では見つかりませんでした。当たっていることも、そうでないこともあるくらいに受け取ってください。
最初の10分に、親ができる3つ
1. 食べ物と水を、先に出す
疲れと空腹は、荒れる原因として名前が挙がるものです。そして、親が一番かんたんに手を打てるのも、この2つです。
帰ってきたら、手洗いのあとで、小さなおやつと水かお茶を出します。夕ごはんが遠くなるときは、量を少なめにして、食べやすいものにします。
「話はそのあとで」と決めておくと、親も少し気が楽です。
2. 声を、いつもより小さくする
子どもが大きな声を出しているとき、こちらも大きな声で返すと、場がさらに熱くなります。
反対に、声を小さくして、ゆっくり話すと、親自身の気持ちも落ち着きやすくなります。
使える一言は、たとえばこれです。
- 「おかえり。おなか、すいたね」
- 「そばにいるよ」
「どうしてそうなるの!」と理由を聞くのは、あとにします。荒れているさなかは、子どもも理由を言葉にできないことが多いからです。
3. 安全にして、待つ
MSDマニュアルでは、安全な場所で落ち着くのを待つ方法があり、多くの子どもは数分で自然に落ち着く、と書かれています。また、原因を解決しようとすると、かんしゃくが長引くことが多いとも書かれています。
なので、やることは3つです。
- ぶつかると危ない物を、どける。
- 叩く・投げるなど、危ないことだけは、静かに止める。
- そばで、何も言わずに待つ。
落ち着いてきたら、「くやしかったね」「疲れたね」と、気持ちに名前をつけてあげます。保育士さんが書いた解説では、荒れている最中は言葉が届きにくいので、気持ちを言葉にするのは落ち着いてからがよい、という考え方が紹介されています。これも一つの考え方として、試してみてください。
架空の例:3つを使った夕方
これは、分かりやすくするための「架空の例」です。実際にあった出来事ではありません。
お迎えのあと、家のドアを開けたとたんに、4歳のA君が靴を投げて泣き出しました。
親は、まず靴をどけて、小さな声で「おかえり。おなか、すいたね」と言います。そのまま何も聞かずに、そばに座って待ちます。
泣き声が小さくなったら、水を出して、小さなおにぎりを渡します。
食べながら、A君が少しずつ話し始めます。理由は、はっきりしないままでも大丈夫です。
やらなくていいこと
- 荒れている最中に、長い説明やお説教をする。
- 「なんで泣いてるの?」と、理由を問いつめる。
- 帰宅後に、洗濯・料理・遊びを、全部こなそうとする。
親も疲れています。最初の10分は、全部を完ぺきにしなくて大丈夫です。
こんなときは、相談してください
MSDマニュアルでは、かんしゃくが15分以上続くとき、1日に何度も起こるとき、5歳を過ぎても頻繁に起こるときは、背景に別の問題がある可能性が高くなる、と説明されています。
また、熱がある、おなかを痛がる、いつもと様子がちがう、というときは、体調の不調が隠れていることもあります。
心配なときは、かかりつけの小児科や、お住まいの自治体の子育て相談窓口、園の先生に相談してください。この記事は一般的な情報で、診断や治療の代わりにはなりません。
今日の一手
今日の夕方は、ひとつだけ試してみてください。帰ったら、荒れてもいなくても、先に「水とおやつ」を出す。それだけです。
うまくいかない日があっても、大丈夫です。次の日にまた、ひとつだけ試せば十分です。
荒れてしまったあとの夜に、自分を責めてしまう人は、言い換え帳 #2|「また怒っちゃった」の夜にも読んでみてください。朝の支度で急いでしまうときは、言い換え帳 #3|「早くしなさい」を言いすぎた朝にもあります。
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