言い換え帳 #9|「口あけなさい!」が出そうな夜に。歯みがきを嫌がる子への声かけ言い換え5つ

子育て

寝る前の歯みがき。子どもが口をぎゅっと閉じて、顔をそむける。
こちらも眠い。つい「口あけなさい!」と大きな声が出る。

この記事では、歯みがきを嫌がる子に使える声かけの言い換えを5つ紹介します。
先に大事なことを1つ。嫌がる理由が、声かけでは直らない「痛み」のこともあります。声かけと一緒に、その確かめ方も書きます。全部使わなくて大丈夫。今夜は1つだけ試してみてください。

先に確かめたいこと:嫌がる理由は「痛み」かもしれない

日本小児歯科学会の一般向けQ&A(産まれてから2歳頃まで)には、歯みがきを嫌がる子について、こう書かれています。大人の力が強すぎたり、上くちびるの裏のすじ(上唇小帯)に歯ブラシが当たったりすると、嫌がることがある。だから、力加減に注意してください、という内容です。

すじに歯ブラシが当たる場合は、指で上くちびるをめくってすじをよけ、1本ずつみがく方法が紹介されています。
言葉を変える前に、「痛くないか」を一度見直す。これが最初の一手です。

1.「口あけなさい!」→「歯ブラシ、先にさわってみる?」

「あけなさい」は、命令です。命令されると、口を閉じたくなる子もいます。
かわりに、子どもが歯ブラシを先に持ったり、さわったりする時間をつくります。

学会のQ&Aには、子どもが自分で歯ブラシを持つときの注意があります。歯ブラシをくわえたまま転ぶと、のどを突く事故につながることがあるので、座って持つ約束をして、保護者がしっかり見ておく、という内容です。先にさわらせるときも、この約束を一緒に伝えると安心です。みがく本番は、保護者の仕上げみがきです。「さわる」と「仕上げは大人」を、順番に分けるイメージです。

使う場面: 歯ブラシを見ただけで、口を閉じてしまうときに。

2.「ちゃんとあけて!」→「痛くなかった? 痛いときは教えてね」

小さい子は、「痛い」を言葉にするのがまだ難しいことがあります。嫌がる理由が痛みなら、「ちゃんとあけて」は、痛いのにがまんしてね、と聞こえるかもしれません。

みがく前に、「痛くしないよ」と一言。みがいている途中で、「ここ、痛い?」と聞いてみます。うなずいたり、顔をしかめたりしたら、力を弱めるか、場所をずらします。

使う場面: 急に嫌がるようになった、特定の場所で顔をそむける、というときに。

3.「動かないの!」→「1本ずつ、5つ数えるよ」

終わりが見えないと、子どもは不安になります。「あと何分?」が分からないからです。
かわりに、数を決めて伝えます。「いち、に、さん、し、ご。はい、1本おわり」。

学会のQ&Aには、歯みがきは1本あたり5秒ほどでじゅうぶん、強すぎたり長すぎたりして嫌がらせないように、という趣旨の記述があります。上手にできたときは、ほめることも大切だと書かれています。

使う場面: じっとしていられず、体をよじるときに。

4.「虫歯になるよ!」→「いっしょにみがこう。パパもやるよ」

「虫歯になるよ」は、本当のことですが、小さい子には少しこわく聞こえることがあります。これは僕の考えで、研究で確かめた話ではありません。
かわりに、大人が自分の歯みがきを見せて、いっしょにやります。

学会のQ&Aでは、話しかけや歌、笑顔でみがくこと、保護者もいっしょにみがくことが勧められています。「パパ」のところは、「ママ」でも、「わたし」でも、ご家庭の呼び方で大丈夫です。

使う場面: 「いや!」の一点張りで、話が進まないときに。

5.「もう知らない!」→「ちょっと休むね。深呼吸してくる」

何度やっても口をあけてくれないと、こちらの気持ちも限界に近づきます。
そんなときは、子どもを置いて怒るより、「ちょっと休むね」と言って、先に自分を落ち着けます。

数十秒、息を整えてから戻ります。これも僕の考えで、歯みがきに限った研究があるわけではありません。ただ、怒ったまま口の中に歯ブラシを入れるより、安全だと考えています。

使う場面: 3回やっても進まず、声が大きくなりそうなときに。

今日の一手:歯ブラシを入れる前に、1つだけ変える

  1. 歯ブラシを持つ手の力を、いつもより弱くする。
  2. みがく前に、「痛くしないよ。痛いときは教えてね」と言う。
  3. 上の前歯のときは、指で上くちびるをそっとめくって、すじをよける。

言い換えても、嫌がる日があります

どの言い換えも、子どもがすぐ口をあけると約束するものではありません。嫌がる日は、ふつうにあります。

一方で、同じ学会のQ&Aには、慣れるまでは機嫌のよい時間帯にみがき、慣れたら毎食後を習慣にする、就寝前の仕上げみがきは必ず行う、という趣旨の記述もあります。「嫌がるから今夜はやらない」を続けると、虫歯の心配が残ります。声かけは、みがく日を増やすための工夫として使ってみてください。

とても痛がる、口の中が赤い・腫れている、ほかにも心配なことがある、というときは、かかりつけの歯科医院に相談してください。この記事は診断や治療の代わりにはなりません。

この記事で引いた日本小児歯科学会のQ&Aは、「産まれてから2歳頃まで」の一般向けの案内です。「1本5秒ほど」も、歯ブラシに慣れてきた小さな時期の説明です。それより大きいお子さんには、そのまま当てはまらないことがあります。お子さんの年齢や歯の生え方で、合う方法は変わります。目の前のお子さんの様子を、いちばんの手がかりにしてください。

言ってしまった日の夜は

「口あけなさい」と言ってしまった日の夜は、言い換え帳 #2|「また怒っちゃった」の夜にも読んでみてください。自分を責めすぎないための言い換えをまとめています。

寝る前の別の場面は、言い換え帳 #7|「早く寝なさい」が出そうな夜にに書きました。

Threadsの「はじめ|心の保健室」では、毎日の小さな言い換えを、短い言葉で届けています。

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